花粉症(舌下免疫療法)
花粉症(舌下免疫療法)
今や花粉症の人口は1,000万人以上に上り、もはや”国民病”とも言われています。
原因は食生活や住環境の変化により、アレルギー体質の人が増加していることや、大気汚染(ディーゼルエンジンの排気ガス)など、さまざまな要因が考えられていますが、戦後植林したスギ林の樹齢が30年を超えて花粉の量が著しく多くなっているのも原因とみられています。
アレルギー性鼻炎の一種で、特に植物の花粉が原因となって、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の充血、涙などの症状を引き起こします。スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、これら以外にもアレルギーを引き起こす植物には、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギほか、たくさんの種類があります。
花粉症のくしゃみは発作のように連続して起こり、回数が多いのが特徴です。風邪の場合は長くても1週間程度で治まりますが、花粉症の場合はシーズン中続きます。鼻水は水のようにサラサラして、風邪のときのように粘り気がある黄色い鼻水にはなりません。鼻づまりや目のかゆみも強く出ます。
花粉がのどから気管に入ると、たんの出ない乾いたせきが続くことがあります。重症の場合は、気管支の粘膜が腫れ、のどの痛みや呼吸困難が起こることもあります。皮膚に花粉がつくことで肌が荒れたり、耳の中にかゆみが起きることもあります。
花粉症の症状が重いと、ぼーっとして熱っぽい、だるく倦怠感がある、頭が重いといった全身症状をともなう場合もあります。
日本で最も多い原因は、約8割をしめるスギ花粉です。2月~3月にかけてピークがあり約2カ月間続きます。花粉は、日中、晴れた日に多く飛散します。近年飛散量が増えているヒノキ科の花粉がスギ花粉より1カ月から1カ月半遅れて飛散するので、症状が長引く場合はヒノキ花粉症を併発している可能性があります。
花粉症の原因となるイネ科の植物の代表はカモガヤです。全国いたるところの道端、空き地、土手、河川敷など身近な場所に繁殖し、5月から8月ぐらいまで花粉を飛ばします。
空き地の減少や積極的な刈り取りにより少なくなっていますが、飛散時期は8月から9月です。ヨモギによる花粉症もブタクサと同じくらいみられ、シーズンはブタクサより半月程度遅れます。
まず症状に合わせて抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などの内服薬、ステロイド点鼻薬や点眼薬を用いて対症療法を行います。症状改善には個人差があり、著効する場合も多いですが、内服や点鼻・点眼薬でも症状が強い場合は舌下免疫療法や鼻粘膜レーザー治療(耳鼻咽喉科での治療となります)なども行います。
アレルギーの原因となっているアレルゲンを少量から、徐々に量を増やし繰り返し投与することにより、体をアレルゲンに慣らし症状を和らげる治療法です。根本的な体質改善(長期寛解・治癒)も期待されます。アレルゲンを舌の下(舌下)に投与する治療法で、現在、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎に対して治療が行われています。
アレルゲンを体内に入れる方法はいくつかありますが、スギ花粉症・ダニアレルギー性鼻炎対する方法としては2つあります。1つは注射を用いた皮下免疫療法、もう1つは舌下免疫療法です。舌下免疫療法は注射による痛みが無いこと、病院に毎週のように通う必要が無いこと、副作用の発症率が低いことから安全な方法として注目されています。
長期間(3~5年)、継続的に毎日1回行う必要があります。
スギ花粉やダニから抽出したエキスの錠剤を舌の下に置きます。舌の下に置くとすぐ唾液で溶けてなくなりますが、唾液はすぐに飲み込まず、1分間舌の下に保持した後、飲み込んでください。最初の1週間は少量を、2週目以降は通常量で行います。なお初回の舌下投与は投与方法の指導やアレルギー有無の確認を行うため当院にて行いますが、それ以降は毎日自宅で投与していただきます。
残念ながら舌下免疫療法はすぐに効果の現れる治療ではありません。アレルギーの原因物質を少しずつ体内に取り込み、免疫を整え、体質を改善する治療となります。そのため治療期間が長くなることはご理解ください。また、100%の患者さんに有効とは言えません。さらに、途中でやめた場合にも効果が期待できません。
スギ花粉が飛散する3カ月以上前より治療を行うと効果的です。スギ花粉の飛散する時期には治療を開始しません。
詳細は確認する必要がありますが、基本的に以下の方は受けられません。まずはご相談ください。
口腔内のかゆみ、唇の腫れ、のどの刺激感、喘息、腹痛などの軽い副作用が発生する場合があります。これらの副作用は投与後数時間で自然に回復することが多いですが、症状が長時間持続する場合は、医師に相談してください。
使用するエキス薬はスギの花粉から抽出した自然のものを利用しており、ごくまれにアナフィラキシー反応のあることが報告されています。
そのため舌下免疫療法を実施している医療機関で治療することが必要です。
日本で舌下免疫が可能なアレルゲンは現在スギ花粉症とダニによるアレルギー性鼻炎だけです。海外では雑草などの花粉症対策として治療薬がありますので、スギ花粉の舌下免疫療法が広まれば、他の花粉についても日本における治療の可能性が高まると考えられます。
「スギ花粉症がある」「ダニアレルギー性鼻炎がある」「免疫療法が適用される」などの診断と確認が必要となります。
まずはご連絡いただき、アレルギーの検査結果などから舌下免疫療法を行うことができるか確認致します。お気軽にご相談ください。